くぼゆうじの雑談

日々の備考録

ロシア外交の憂鬱?

北朝鮮危機を語る上で外せない国がある。それはロシアである。これまでの対北朝鮮への国連への制裁に関しても、甘い(北朝鮮より)発言を続けてきた。ロシアは日本の味方なのかそれとも敵なのか判断しかねる。

今、北東アジアの情勢はかつての6カ国協議の枠組みから東南アジアまでも含んで、南シナ海、さらには太平洋まで覇権争いの幅が広がってきた。主要なプレイヤーは、米中露の3カ国である。日本はもうすでにこのパワーゲームにはいない。

Russian Far East - Wikipedia

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上記を前提として、ロシア外交が対北朝鮮危機に対して、どうしてこうも煮え切らない態度なのか筆者なりの考えを述べる。以下、自分のフェイスブックからの引用

ロシアの北朝鮮危機に対するスタンスとして、大きく二つの側面から考えております。1、ロシア経済(露欧米関係) と 2、ロシアの地政的軍事戦略の二つです。
①に関しては、ロシアに対する欧米などの経済制裁に効果があったかどうかは別としても、ロシア経済自体が失速の傾向にあり、また欧米とのエネルギーも含めた貿易関係も悪化していると捉えております。結果、ロシアとしてはこの度の北朝鮮危機に対して特に米国に協力する形での関係の修復と経済成長
率のUPを考えているだろうという点が1点。
②地政的な軍事戦略として、ウラジオストクを中心とした北方においては日本や米国と軍事バランスをとり、あわよくばこの海域をコントロールしたい点。さらに、北朝鮮の地域を緩衝地帯にしておきたく、サード配備の反対や仮に北朝鮮有事後かの地域が米韓の前線になることは避けたいという点。つまりこの2点からロシアの安全保障上、北朝鮮が米国と敵対しているとしても、この地域にバッファーとして存在してくれればいいという点です。
①②は矛盾します。経済的には少なからず米国と円満な関係を構築したいと考える一方で軍事的には米国とバランスをとる事を優先し、脅威リスクを少しでも避けたい(北朝鮮を緩衝地帯にしたい)思惑が綱引きをしており(これを絡み合うと表現しました)、結果、現状維持、静観のスタンスにいるのではないかと捉えております。

つまり政治=経済と軍事のバランス と考えるならこの矛盾する2つを上手くコントロールし伸ばしていくかということを戦略的にロシアは考えての外交である。
結論はロシアは敵でも味方でもなく、自国の国益の最大化を図っているだけなのである。
10月3日追記

東京財団の研究員でもある畔蒜泰助さんより、質問をいただいた。大変光栄である。
より、詳細かつ具体的な論考は下記を参照していただきたい。

tkplus.jp