くぼゆうじの雑談

日々の備考録

イヴァンカ大統領補佐官の実力とは?

父である米国大統領のトランプ氏が来日する前にその娘であり、大統領補佐官でもあるイヴァンカ氏が来日し話題となっている。噂では大統領の意思決定にもコミットし、その政治的影響力が大きいだろうということで、日本は安倍総理をはじめ政府あげての大歓迎であり、東京は厳戒態勢が取られている。ロングの金髪の美しい白人女性なのだから、多くの日本人男性が注目するのも無理もない。ただ今回の来日はファッション・モデルではなく、あくまでも大統領補佐官としてである。大統領の補佐官という仕事は主席補佐官を筆頭に閣僚外のポストとなるが、歴代補佐官はみな政治経験豊富なまさに、大統領の仕事を手伝える人たちが担ってきた。歴代でいえば、ジェームズ・ベイカー氏などが有名ところである。では、多岐にわたる大統領の仕事を手伝うとは具体的にどういう内容をさすか、それは大統領に政策を説明し意思決定にアドヴァイスすることである。あえて日本で言うと、総理の補佐官はもちろん、官房長官あたりが妥当であろう。

この実質、副大統領よりも権限をもついわれる補佐官を歓迎し厳戒態勢で臨むのは理解できる。問題はイヴァンカ氏にこの重要な職務をこなすだけの知性と経験が備わっているかである。私の信頼する米国在住の政治にも強いある執筆家に話をきくところ、以下のような返答がかえってきた。一部抜粋する。

自称「活動家」なんでしょうが、こちらでイヴァンカをそんなふうに呼ぶと、ふつうの女性はキレます。
口先だけで、自分のブランドでも女性差別していますよ。
彼女が語る政策のレベルなんて、わが町の女子中学生でできます。

 渡辺由佳里さんより(facebookでのやりとり)

 この情報の信ぴょう性はともかく、日本の一部メディアは騒ぎすぎである。私自身もTVで彼女の会見などを観たがとてもシャープで精力的な印象は受けなかった。
はっきり言おう、とても大統領の補佐官は務まらない。

(まあ、選んだのがオヤジなので仕方ないのかもしれない)

 こんなひどい記事もある。リンクしておく。

www.huffingtonpost.jp

(ファッションチェックって重要ですか、この記事、需要あるんですか)

さらに問題なのは、安倍総理がいわゆるイヴァンカ基金に57億円を拠出するという内容である。ただし、こちらはミスリードをおこしているようで、正確には世界銀行が女性が主体となって活躍する企業家や中小企業支援を行う基金に拠出したのが正確である。

以下のリンクがよくまとまっているので記しておく。

www.buzzfeed.com

筆者自身はこのことには特に何も思っていない。もちろん、世銀の基金の透明性の問題はあるが、イヴァンカ氏はノータッチである。またよくありがちな論調でそんなお金があるなら、日本の他の財源にあてよという類も、それはそれ、これはこれの問題なのであって、日本はそこまで財政難ではないし、混同しすぎな過剰反応とみている。

一部マスコミが調べが足りなかったか、安倍総理やイヴァンカ氏叩きに偏重したかであろう。それはそれで問題ではあるが、筆者がここで述べたいのは結局のところイヴァンカ氏は何しに来て、安倍総理はそれを利用して何がしたかったのであろうか。

今回、どんなイメージ操作が行われたにしても、米国としては大統領来日前にイヴァンカ氏がきたことで国民の注目を集め、日米関係の良好さや柔らかい雰囲気作りには成功した。広報官としてのイヴァンカ氏は合格である。さらに、安倍総理も上記の目的の他、日本は女性の活躍を推進しているというメッセージを弱いながらも発信することができた。簡単にまとめれば、ポーズとして来日したイヴァンカ氏、それにポーズとしてこたえる安倍総理である。はっきりいうと中身は全くないが、こういう外交手段も時にはあるということを認識しておくべきであろう。